台湾政府が、ペットの写真や名前が入った「身分証」の発行を始めた。飼い主や個体の情報などを登録するインターネット上の管理システムにアクセスし、スマートフォンなどで表示する仕組み。対象は犬と猫だけだが、ペットを家族同様に大切にしている飼い主には好評だ。(共同通信=渡辺靖仁)
台湾ではペットの違法な繁殖や取引を防ぐ目的で、飼い犬についてはマイクロチップ装着と、飼い主や個体に関する情報の当局への登録を義務付けている。猫の場合は、義務ではないがそれぞれ推奨されている。
従来は登録情報を文書にして飼い主に渡していたが、今年から登録手続きや閲覧を電子化したのに合わせ身分証が表示されるようになった。ペット政策を担当する農業部(農業省)動物保護局の陳中興副局長は「スマホに出てきた身分証を見せれば自分のペットを周囲に気軽に紹介できる」とアピールする。
登録義務化は1990年代末から始まったが、陳氏によると、登録率はまだ7割程度にとどまる。身分証導入でペットに愛着を持ってもらうとともに、制度周知につなげて登録率を上げたい狙いもある。
管理システムに登録されるのは、飼い主の履歴のほか、マイクロチップ番号、ペットの性別と生年、犬種・猫種、避妊・去勢手術の有無や、狂犬病ワクチンの接種歴など多岐にわたる。
このうち身分証にはマイクロチップ番号、性別や生年を記載。使われるペットの写真は飼い主がいつでも変更できるといい、陳氏は「成長に合わせて写真を変えてもらえれば」と話す。
身分証は主にスマホでの表示を念頭に置いているが、農業部は登録を呼びかける宣伝イベントなどで印刷されたカード式のものも提供。台北市内で開かれたイベントで愛犬のカード式身分証を手にした女性(41)は「(愛犬は)家族と同様。その存在がきちんと認められているようでうれしい」と話した。
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