石川県珠洲市の総合公園で運動会が開かれ、大玉転がしをする子どもたち(1日午前)=共同

石川県を中心に大きな被害が出た能登半島地震は1日、発生から5カ月となった。避難中に体調を崩したことなどによる「災害関連死」は30人が認定され、家屋倒壊などによる直接死230人を合わせた犠牲者は計260人に上る。

関連死を防ぐため、自治体は被災者の見守りや健康面のケアなどに力を入れる。被災地では、徐々に進む復興に伴い、地域内のつながりを取り戻そうという動きも活発化してきた。

県などによると、関連死の疑いがあるとして、遺族から各市町への認定申請が相次いでいる。県と市町は月1回のペースで合同審査し、認定作業を進める。

石川県の避難者は3319人。このうち1736人は学校や公民館などの1次避難所に身を寄せ、1530人は被災地から離れたホテルや旅館などへの2次避難を余儀なくされている。

仮設住宅は5月末時点で、必要数の67%に当たる4443戸が完成した。県は8月中に希望者全員の入居を目指す。一方、輪島市の仮設住宅では70代女性の孤独死が判明。見守り体制の拡充が急がれる。県内の断水は最大約11万戸に上ったが、5月末時点で、早期復旧が困難な輪島、珠洲両市の計1821戸を除いて解消した。

珠洲市の小中学校はグラウンドに仮設住宅が建設されたり、体育館が損壊して使えなくなったりした。子どもたちが集まれる場を提供しようと1日、地元の若者らが中心となり、市内の総合公園で運動会が開催された。

グラウンドには子ども約100人が集まり、歓声を上げながらリレーや大玉転がしなどで体を動かした。主催者側は「天気が良くて運動会日和になった。大変なことはまだたくさんあるが、きょうは忘れて思い切り楽しみましょう」と呼びかけた。

県中部・羽咋市の温浴施設「ユーフォリア千里浜」は室内プールの修復が終わり、約5カ月ぶりに一般開放。小学生らが笑い声を響かせながら、水中に潜ったりバタ足を練習したりした。支配人は「体を動かして元気になってほしい」と語った。

輪島市中心部では今も倒壊した家屋や道路の亀裂が残る。避難所生活を続ける女性(65)は近く仮設住宅に移る予定で「この5カ月はとても長かった。全壊した家はまだそのままの状態。再建のことは何も考えられない」とため息をついた。

▼災害関連死 地震や土砂災害などによる建物倒壊、津波、洪水などが原因で亡くなる「直接死」とは別に、避難生活の疲労や環境変化のストレスなどから体調が悪化して亡くなり、災害が原因と認められたもの。車中泊などで長時間同じ姿勢を取ることで血栓ができる「エコノミークラス症候群」のほか、自殺も含まれる。自治体の審査で認定されれば、災害弔慰金支給法に基づき遺族に最大500万円が支給される。

〔共同〕

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