プロの化粧で被災女性を元気に　輪島市の寺や避難所に無料ブース

被災した女性たちにぴったりの化粧を施す中野剛章さん（左）＝18日、石川県輪島市町野町の東陽中で

　石川県輪島市町野町の佐野寺の谷隆秀（りゅうしゅう）住職（54）が、能登半島地震で被災した地元の女性にプロによる化粧を無料で楽しんでもらう取り組みを続けている。定期的に寺や地元の避難所にブースを開設。メークアップアーティスト中野剛章（よしあき）さん（55）＝横浜市＝が担当し、女性たちを笑顔にしている。　「マスカラは斜めにするとよく付きますよ」「眉毛はかくっていうよりも整えるイメージです」　中野さんは5月18日、避難所となっている輪島市東陽中学校体育館で次々にやってくる女性たちと1人ずつ向き合い、豊富な種類からぴったりの化粧道具を選んで、ブラシをはたいた。　自宅が全壊し、この避難所から会社に通う高安静子さん（38）は鏡を見て「自分じゃないみたいで恥ずかしい」と照れ笑いを浮かべた。断水中は化粧を落とせないためできず、復旧してからもしない習慣がついてしまい、震災以来初めての化粧だったという。

◆谷住職「癒やされてほしい」◆

　谷住職によると、2月下旬に始め、今回が4回目。寺の中でしていたが、より多くの人が受けやすいようにと場所を変えた。ボランティアを通じて知り合った中野さんから提案された。「震災後は、皆さん女性らしいことを意識できていなかっただろうなと想像できた。何か提供できればと考えていたので、いいご縁があってうれしい」と話す。