性同一性障害特例法に基づき男性から性別変更した40代女性が、変更前に凍結保存した精子でパートナーとの間に生まれた次女を認知できるかが争われている訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は31日、当事者の意見を聞く弁論を開いた。次女側、女性側とも親子関係を認めるように求め、結審した。判決は6月21日。

◆「遺伝上実父なのは確か、認知請求できる」と弁護士

 弁論は二審の結論を変える際に必要な手続き。性別変更前に生まれた長女には親子関係を認めながら、次女については認知の訴えを退けた東京高裁判決を見直す可能性がある。  弁論で、次女の代理人弁護士は「父または母」が認知すると定めた民法の規定について「親と子の関係を形成すること自体に本質があり、親の法律上の性別に特段の意味を置いているわけではない。遺伝上、血縁上は実父なのは確か。法律上の性別にかかわらず認知請求できる」と主張した。  さらに、認知されないと相続や扶養などの権利が行使できないとし「親の性別変更の時期によって一方の子に認知が認められなければ、姉妹間に著しい不均衡が生じ、子の福祉に反する」と訴えた。  40代女性は「認知請求を認める判決を」と求めた。  二審判決などによると、40代女性が性別適合手術を受ける前に凍結保存していた精子を使い、パートナーの30代女性が2018年に長女を、20年に次女を出産。2人が誕生する間に、40代女性は性別を男性から女性に変更した。その後、自らを父、2人を子とする認知届を自治体に出したが受理されず、子2人が原告となり認知を求める訴訟を起こした。(太田理英子) 

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