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 藤井聡太八冠(21)が土俵際の大ピンチです。叡王戦5番勝負の第4局が31日に行われますが、藤井八冠が2連敗中で、負ければ八冠陥落となります。

 立ちはだかるのは、同い年で“藤井を泣かせた男”の異名を持つ伊藤匠七段(21)です。

■伊藤七段…幼いころから藤井八冠を“意識”

藤井八冠
「あす、カド番対局となりますけども、スコア的にはちょっと追い込まれて苦しい状況ではあるのですけども、全力を尽くしたいと思っております」 伊藤七段
「あすの一局は、シリーズとしては佳境と言える一局かなと思うのですけれども。熱戦をお見せできればと思っております」

 31日に行われる天王山、叡王戦第4局の前夜祭と検分に参加した藤井八冠と初タイトルを狙う伊藤七段。同い年の2人は、これまでに14回対戦し、藤井八冠の11勝2敗1引き分けです。

 実は、この2人は小学校からのライバル。将棋大会の準決勝で対戦した小学3年生の藤井八冠と伊藤七段です。

 結果は、伊藤七段が勝利しました。

伊藤七段の父親のブログ
「この大会は、他の大会と比べて子どもたちの涙が目立つ。特に三位決定戦は、互いに直前に負けた者同士で戦うので、涙を拭きながら対局している姿も見られ、端で見ている私が詰んでしまいそうだった」

 伊藤七段は“藤井を泣かせた男”になりました。

 準決勝に進んだその伊藤七段を、決勝で敗ったのが同じ将棋クラブに通っていた川島滉生さんでした。

 伊藤七段が幼いころからライバルとして強く意識していたのが、藤井八冠です。 川島滉生さん
「当時の伊藤少年が、藤井少年が会場に来た時に『あの子すごく強いんだよ』と言っていて。伊藤少年は、そういうことを言わない人だったので。本当に強い人が来たのだと思ったことを覚えています」

 その後、2016年にプロ棋士としてデビューした藤井八冠。2020年には、二冠を獲得します。

 同じ年、“藤井を泣かせた男”伊藤七段は、ようやくプロデビューしました。

 そんな2人が大舞台で初めて対戦したのが、去年行われた竜王戦七番勝負です。しかし伊藤七段は、藤井八冠に4連敗を喫します。

 再び相見えたのは、棋王戦五番勝負でした。しかしここで、伊藤七段は初戦引き分け後、藤井八冠に3連敗してまたも1勝もできませんでした。

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■決め手となった「桂馬」の使い方

■決め手となった「桂馬」の使い方

 伊藤七段と藤井八冠の3度目のタイトル戦となった、今回の叡王戦五番勝負。

 第1局は、両者譲らぬ熱戦となりましたが、藤井八冠が終盤、形勢を有利にすると、そのまま押し切って初戦を制しました。

伊藤七段
「終盤、チャンスがありそうな気がしていたので。思いのほか、先手がしぶといというのが、誤算ではありました」

 そして、藤井八冠がタイトル戦歴代1位となる17連勝のかかった第2局。しかし、ここまで負けが続いていた伊藤七段が一矢を報います。

将棋ライター 松本博文氏
「序盤のうちに入った桂馬が最終盤になって、藤井玉を詰ませるための足掛かりになるという、非常にうまい組み立てになりましたね。それは偶然ではなくて、読みで組み立てて最後うまく決めたと」

 決め手となったのは「桂馬」の使い方です。

 「桂馬」は主に攻撃を担う駒で、前2方向にしか進めず後退ができません。しかし駒が成って「成桂」になると、金と同じ6方向に進めるようになります。

 先手の伊藤七段の39手目、何気ない手に見えた「7七桂」が最後に生きることになりました。

 終盤の81手目、伊藤七段は敵陣の4三に「桂馬」を打ち王手をかけます。

 藤井八冠は王将を逃がしますが、銀で再び王手。これも7三玉に逃げる藤井八冠。

 伊藤七段は追撃の8四銀を打ち、三度王手。藤井八冠は、この銀を同玉で取ります。

 ここで伊藤七段は8五の地点に飛車を繰り出します。藤井八冠は「7七桂」が効いているため飛車は取れず、7三玉にしか逃げ道はありません。

 逃げたとしても6五に「桂馬」が跳ねてくるので詰みです。

 ここで藤井八冠は負けを悟り投了。伊藤七段が、初勝利しました。 伊藤七段
「なかなか勝てていなかったので、一つ結果が出たことは良かったですけど、まだ番勝負が続くので引き続き頑張りたい」  1勝1敗で迎えた第3局。勝負を決めたのは、また「桂馬」でした。

 最終盤、2枚の「桂馬」で藤井八冠を牽制(けんせい)しながら伊藤七段が146手目で打った「1五桂」。

 ここで投了となりました。この駒が跳ねると2七桂成になり、同玉と取っても2六に飛車を打たれたら逃げられないと判断しました。

 タイトル戦で、藤井八冠が連敗するのは初めてです。 松本氏
「(藤井八冠が)同じシリーズで連敗はしたことがなかった」

 一体、どちらに軍配が上がるのでしょうか?

(「グッド!モーニング」2024年5月31日放送分より)

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