福井県職員が高浜町の森山栄治元助役(故人)から金品を受領した問題で、市民団体「市民オンブズマン福井」が30日、記者会見した。「長年の慣行を除外したり、あいまいにしたりし、歴代知事ら幹部の責任問題を回避しようとした」と県の調査報告書を批判した。

 オンブズの集計では、元助役との長期にわたる関係で、歳暮・中元をやりとりした職員の4割が元助役より先に贈っていた。組織的にとりまとめて贈っていたとの証言もあった。

 元助役への就任あいさつのために年休を使い、旅費と手土産代を私費負担して滞在先の京都へ出向いた職員もいた。

 こうした長年の慣行から、オンブズの大久保公夫幹事は「元助役の不当な支配に行政機関が屈していた」「県は問題を森山氏と職員個人の金品の授受に矮小(わいしょう)化し、歴代知事の責任や、(なぜこのような関係が続いたかという)問題に立ち入るのを避けた。県民だけでなく、勇気をもって証言した職員や元職員への裏切りだ」と述べた。

 報告書は県の調査委員会が2019年、職員(退職者を含む)313人分の回答を元にまとめた。公表後、オンブズは職員回答の開示を求めたが、開示の大半は黒塗りだった。県が非公開としたのは違法だとする名古屋高裁金沢支部の判決が23年11月に確定。県は改めて2月末、回答をほぼ全て公開した。(永井啓子)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。