精神科病院「神出(かんで)病院」(神戸市西区)で2020年、元看護師ら6人が入院患者への虐待で逮捕され有罪判決を受けた事件をうけて、同院の土居正典院長らが30日、神戸市内で記者会見を開き、改善に向けた現状報告をした。21年6月に土居院長が外部から着任して新体制になっている。

 この日の会見で病院側は、以前の体制について、院長の意に沿わなければ職員が繰り返し叱責(しっせき)される状態が約10年続いていたと説明した。ほかにも、コンプライアンス研修など職員への教育機会が制限されていたという。その結果、「職員自らが考えることをやめ、正しい医療や倫理観に基づいて患者に接する状況になかった」とした。

 そうしたことを踏まえ、新体制になって、病院の理念を「患者の理解に基づいた心ある医療提供」と定義して改善を図ってきたという。当時の職員の約4割が入れ替わったという。

 また、土居院長は、以前の体制で院長に権力が集中していたとして新体制では「病院長、病院改革執行責任者、同院を運営する法人本部長の3者で協議する体制にした」と述べた。

 今後に向けては、職場環境の改善策として業務の見直しによる効率化を継続することや、専門性を高めるための研修内容の向上などを挙げた。(高木智也)

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