東京電力福島第1原発では、いまも1日約4000人の作業員が働いている=福島県の東京電力福島第1原発で
今年2月には汚染水の浄化装置の弁が開いているのに、閉じていると思った作業員がポンプを動かして、汚染した水が漏れた。4月には鉄骨に指を挟む骨折事故が発生。連休前には、敷地内の掘削作業でケーブルを傷つけて停電。作業員がやけどして海洋放出も一時止まった。 連休明けから急きょ、全作業(約950件)の安全総点検が行われた。作業には優先順位があるし、申し込みが遅かったのか、なかなか点検が行われない作業もあって参った。それも作業件名ごとに点検が入るから、いくつもの作業で点検を受けないとならない。点検には電力さんのGM(ゼネラルマネジャー)など幹部が来る。現場に行き、作業員全員で作業の流れや何が危険かを確認し、どう避けるかも議論して提出する。許可が出るまで仕事ができない。考え過ぎて、頭から湯気が出そうになった。 そんな中、この間は足場から足を踏み外して転倒し、骨盤を折るなどの大けがを負う事故が起きた。事故やミスが出ると許可が出た作業も、もう一度さらに厳しい点検を受ける。新たに始まる作業も点検を受けなければならず、全然仕事にならない。作業が遅れた分、急がされないといいけど。 これから暑くなってくる。こんなときだから、熱中症も出すなと厳しく言われるんだろうなぁ。現場は「あれやってから、これやれ」とかいろいろ言われると、頭の中がいっぱいになって体がガチガチになり、けがしやすくなる。事故やミスが続くと、もっと大きな事故が起きる。それが心配。(聞き手・片山夏子) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。