SNS上で著名人などになりすました広告をきっかけに投資に勧誘される消費者トラブルが急増している。国民生活センターは29日、2023年度の相談件数が1629件となり前年度から約9.6倍に急増したと発表した。1件あたりの契約金額は高額化しており、被害回復も難しいとして同センターが注意を呼びかけた。

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同センターによると、1カ月あたりの相談件数は23年9月以降、100件を上回るようになり、24年3月に300件を超えた。年代別では60歳代が3割を占めて最多だった。1件あたりの平均契約金額は687万円で前年度比453万円増。1億7千万円を支払った事例もあったという。

投資に対する不安を払拭するため、投資家や経済学者などの著名人の写真や名前を本人に無断で用いて「投資のノウハウを教える」などと勧誘する手口が多い。

60代の女性は有名経済評論家が主催する投資相談のSNS広告を見てメッセージアプリに登録。アシスタントを名乗る人物からメッセージが届き、海外株などの投資話を次々と持ちかけられ複数回にわたって総額1500万円を振り込んだ。資金を引き出すには手数料などでさらに2200万円が必要と言われ、出金できなくなったという。

30代男性はメッセージアプリでFX投資を勧められ、実態が不明な海外投資会社で口座を開設した際に運転免許証や携帯番号などを相手に送信した。「渡した個人情報が心配。どうしたらよいか」とセンターに相談した。

同センターの担当者は「詐欺に気付いた際には相手と連絡が取れず返金を求める方法がなくなっていることが多い」と指摘。「通常の株やFXの取引で個人名義の銀行口座が振込先として指定されることはない」として消費者自身による注意を求めた。

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