旧優生保護法下での強制不妊手術をめぐる訴訟の上告審弁論が29日、最高裁大法廷で開かれた。この日の最高裁には障害がある当事者や支援者が多数集まっており、様々な配慮があった。
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法廷内では、当事者の意見陳述や裁判官とのやりとりが手話通訳され、計6カ所のモニターには当事者の主張を記した資料や要約筆記が映された。通訳がしやすいよう、話す際は「裁判長が発言します」などと発言者を明示していた。法廷外では、耳の不自由な傍聴希望者に手話通訳者が対応したほか、職員が意思疎通のための筆談ボードを使うなどした。
裁判所がこうした措置を同時に行うのは異例だ。しかし、当事者側は「配慮が不十分だ」と指摘する。
訴訟を支援する「優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)」は、障害者差別が根底にある今回の訴訟ではなおさら、障害者がアクセスしやすい環境作りを最高裁に求めてきた。手話通訳の費用を裁判所が出すよう求めたが認められず、結局、優生連が負担した。午前の弁論では弁護団から「障害のある一人ひとりが大切にされていると感じられる裁判のため、(裁判所に)更なる尽力をお願いしたい」との要望が出された。(遠藤隆史)
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