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 食卓に欠かせないご飯のお供、漬物が危機を迎えている。来月から漬物づくりのルールがより厳しくなることを受け、漬物づくりを断念する農家が相次いでいる。

■和歌山県で梅の収穫開始も…不作か?

 青々と実っているのは、全国的なブランド梅「南高梅」。その収穫が和歌山県で始まっている。しかし、今年は暖冬などにより、生産予想量は平年比の62%と過去にないほどの不作になると見込まれている。 梅農家 寄本裕貴さん
「凶作ぐらいの感じの出来です。15年やってきているんですけど、ここまで不作なのは経験ないです。初めてです」

 さらに、この梅の不作は全国的な傾向となっていて今後、梅干しへの影響が懸念されている。

寄本さん
「ひょう被害、カメムシ被害で非常に傷が多い年です」

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■漬物危機「リフォーム費用200万円」

■漬物危機「リフォーム費用200万円」

 そんなご飯のお供、梅干しなどの漬物がある法律の改正で危機に立たされている。

 愛知県の梅農家・横畑昭子さん(79)は自家製の梅干しや梅漬けなどを直売所で販売している。横畑さんは今年、梅干しなどを作る作業場をリフォームした。 横畑さん
「ずいぶん直すのに(費用)かかっちゃったけどね。元からここで梅を漬けてた。だけど(申請が)通らんもんで全部つくり直した」  きっかけは食品衛生法の改正だ。来月1日から漬物の製造・販売には「高い衛生基準」を満たした設備を整えた上での営業許可が必要になる。 横畑さん
「ここらへんは板目だったけど、全部張り直して。天井も日本建築で板だったので、張り直して」

 新しい基準では、壁も床も水で洗い流せる素材でなくてはいけないため、リフォーム費用は200万円ほどかかったという。

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■91歳の母が作る人気の梅漬けも販売断念

■91歳の母が作る人気の梅漬けも販売断念

 一方、漬物作りを断念する農家もいる。 梅農家 柿原久哲さん
「施設が適当なところが、今のところ現状ないものですから。食品衛生法が変更になったということなので、それは仕方なく受け入れるしかない」  柿原さんの91歳になる母親が作る人気の梅漬けは、今年から販売をやめるという。手作りの漬物が減ることを惜しむ声も聞かれた。 買い物客
「おいしい梅干しもあるのにね、あまり厳しいとつらいですよね。一生懸命作っている人たちからしたら」
「やっぱり選べなくなるのは、ちょっと残念な感じがしますね」

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■漬物の危機を乗り越えるために…

■漬物の危機を乗り越えるために…

 来月から全面実施される食品衛生法の改正のきっかけとなったのは、2012年に札幌市で白菜の浅漬けが原因となり8人が死亡した集団食中毒事件。これを受け、食の安全確保に向けた動きが活発化し、2018年に改正食品衛生法が成立した。

 これにより漬物づくりは2021年から許可制となっており、猶予期間が切れる今月31日までに、許可を得ていない業者は漬物の販売ができなくなる。

 しかし、許可を得るための衛生面での施設基準に適合させる環境整備ができず、廃業を決断するところが多いという。

 愛知県にあるJAの直売所の一つでは、50軒ほどの農家の手作りの漬物が販売されていたが、来月以降も出荷を続ける農家の数はこれまでの10分の1に激減するという。

 そんな漬物の危機を乗り越えようとする動きもあるようだ。

 秋田県名産の漬物といえば「いぶりがっこ」だが、その産地である横手市が、2021年に漬物業者に対して「設備投資をして事業を継続するか」とのアンケートを行ったところ、「継続を希望する」と答えたのはわずか6%だった。

 そのため、秋田県では、設備費の3分の1以内(上限1000万円)の補助事業を実施。さらに横手市でも設備の導入や、改修費用の10分の4以内(上限40万円)の補助事業を実施した。

 その結果、去年行った同様のアンケートでは「およそ52%が事業を継続する意向を示した」という。

 また、水かけ菜を使った「水かけ菜漬け」が特産の静岡県御殿場市や小山町も、施設改修費の補助を行っている。

 この地域を管轄するJAふじ伊豆御殿場地区本部に番組で話を聞いたところ、「改修が難しい団体や、規模の小さな生産者の支援のため、JAが改正食品衛生法の基準に適応した共同の加工センターを整備するなどの支援をしている」という。

 担当者は「この地域で明治時代から続いてきた伝統の食文化をここで衰退させてはならない。みんなで力を合わせて食文化を守っていきたい」と話した。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年5月28日放送分より)

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