国土交通省が7月をめどに、路線バスの運行規定を見直し、現金では運賃を支払えない「完全キャッシュレスバス」を解禁することが分かった。ICカードなど電子決済だけなら現金管理の手間が省け、赤字に苦しむ事業者の経営コスト削減や、運転手の業務負担軽減が見込めると判断した。現金しか使えない利用者への配慮は欠かせず、十分な事前周知などを求める。
26日までの取材に国交省が明らかにした。交通系ICカードが普及する都市部を中心に導入が始まると想定する。
完全キャッシュレスの路線バスは、実験的に実施したことがあるだけで、本格運行した例はない。バス運送の基本事項を示した国交省の「標準運送約款」に、完全キャッシュレスを容認する明確な規定がないためだ。
加えて、やむを得ない事情がある場合以外は乗車拒否をしてはならないと定めた道路運送法の存在がある。事業者は、現金しか使えない客を乗車できなくすると同法に抵触しかねないと懸念しており、電子決済を導入済みでも現金払いと併用している。
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