長野県中野市で散歩中の女性2人が刺殺され、駆け付けた警察官2人も猟銃などで殺害された事件は25日、発生から1年となった。住宅のまばらな集落で起きた事件は、今も地域に暗い影を落とす。近隣住民らが次々に現場を訪れて手を合わせ、「事件のことを思い出さない日はない」と語った。

事件は昨年5月25日午後に発生。翌26日、県警は自宅に立てこもっていた青木政憲被告(32)=殺人罪などで起訴=を殺人容疑で逮捕した。公判前整理手続きは始まっておらず、初公判の見通しは立たない。

青木被告の自宅の脇には観音像が設置された。夫婦で献花に訪れた近所の男性(61)は当時を振り返り「一度来た救急車が、急いでバックしていくのを見た。ただ事ではないと確信した」と話した。犠牲者を追悼する手書きのカードを添えた花を供え「観音像を建てるだけで終わりにしていいのか」と複雑な思いを語った。

別の70代女性も現場を訪れ、観音像に手を合わせた。「事件後、お盆くらいまでは胸がざわついた」と話した。

県警も24日、中野署で追悼式を開いた。110番が入った午後4時26分に合わせ、署員ら約80人が黙とう。署に献花台も設けた。

亡くなった池内卓夫警部(当時61)=2階級特進=の所属していた県警音楽隊が「千の風になって」など2曲を演奏。村松朝生署長は「亡くなった方々の無念、遺族の悲しみを受け止め、悲劇が繰り返されないよう治安維持に最善を尽くそう」と訓示した。〔共同〕

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