女性は顔と両腕にけがをして病院に搬送され、意識はあるということです。

女性は夫とともに24日朝から山林に入り、別々の場所でわらびを採っていたということです。

秋田県では去年、クマによる人身被害が過去最悪の70人に上っていて、ことしも今月に入ってから被害が相次いでいます。

今月18日、鹿角市では、たけのこ採りで山に入っていた男性が遺体で見つかり、運び出そうとした警察官2人がクマに襲われて大けがをしています。

このため仙北市と仙北警察署は、遭難の対応について「山林での地上捜索隊の動員は危険を伴うため極めて困難だ」として、今後はヘリコプターによる空からの捜索と車を使った林道からの捜索を中心とする方針を示すとともに、入山禁止の山に入らないよう強く要請する呼びかけを今月21日に行っています。

また、秋田県は全域に「ツキノワグマ出没警報」を出し、クマとの鉢合わせを避けるためやぶなどの見通しの悪い場所では鈴やラジオなどで音を出し人の存在をアピールすることや、山では単独行動を避けゴミを必ず持ち帰ることなどを呼びかけています。

クマに襲われけが 4月以降は少なくとも10人に

クマによる被害が過去最悪となった去年に続き、ことしも春先から被害が出ています。

4月以降にクマに襲われてけがをした人は全国5つの道県で少なくとも10人に上っています。

クマは例年、3月から5月くらいに冬眠から目覚めて活動を始めますが、環境省がまとめたところ、先月、岩手県と石川県、奈良県で合わせて3人がクマに襲われるなどしてけがをしたということです。

また、NHKが各地域局の取材をもとに集計したところ、今月に入ってからこれまでに秋田県で5人、北海道と岩手県でそれぞれ1人、合わせて7人がけがをしていて、先月以降の被害は全国5つの道県で合わせて10人に上っています。

このほか秋田県では山林で遺体で見つかった男性1人がクマに襲われた可能性もあるとして警察が慎重に調べています。

人への被害が5月末までに22人に上った去年と比べると少ない水準になっていますが、クマの目撃や出没の件数が例年より多くなっている地域もあります。

秋田県では4月、寄せられたクマの目撃情報が過去5年間の4月の平均と比べて1.5倍以上になったほか、青森県でも先月、クマの出没が確認された件数が例年の2倍近くとなり、過去最多だった去年に次ぐ多さになっているということです。

東北や北海道、北陸の一部では道や県が「注意報」や「警報」などを出して注意や対策を呼びかけています。

専門家 “人の生活エリアでも対策を”

クマの生態に詳しい東京農工大学大学院の小池伸介教授は「去年、多くのクマが人里に出没して社会問題となり、駆除が進められた結果、これまでのところ比較的、人的被害は少なくなっているのではないか。一方で、去年の状況を受けてクマへの関心が高まり目撃件数が増えている可能性がある」と指摘しています。

そのうえで、「この時期は、親グマから子離れした若いクマが生息場所を探して動き回ることがあり、人と鉢合わせになるおそれがある」として、山菜採りなどのために山に入るときのほか、人の生活エリアでもクマがいそうな茂みなどに近づくときには鈴や笛など音が鳴るものを身につけるなど対策をとるよう呼びかけています。

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