2025年大阪・関西万博会場(大阪市)の工事現場で3月に起きた爆発火災をめぐり、大阪府議会の万博推進特別委員会で23日、質疑があった。前日に新たな損傷が明かされたことなどを受け、出席した議員からは積極的な情報発信などが求められたほか、日本国際博覧会協会(万博協会)の事故対応に対する疑問も出た。

 特別委には大阪維新の会、公明、自民の計9人が出席。維新の美好かほる議員は爆発事故について「多くの府民・市民は非常に不安に思っているのではないか。正確な情報発信をしっかりと行うべきだ」と指摘した。

 府と市でつくる万博推進局の担当者は「万博協会が公表する内容を議会にお知らせし、情報公開条例に基づき適切に対応している」と応じた。

 3月28日に発生した爆発をめぐっては、施工業者による消防への連絡が発生から約4時間半後だったことが判明している。万博協会は取材に対し、けが人がいなかったことや、事故が火災だと認識するのが難しかったなどとして、「事業者の対応に問題はなかった」と説明した。

 ただ質疑の中で、万博協会が事業者に対し、同じような事故があった場合には速やかに消防に通報するよう、爆発から4日後の4月1日には指導していたことも明かされた。

 公明の藤村昌隆議員は「(認識と対応が)ちぐはぐだ。万博協会としての対応は適切だったのか」と疑問を呈した。

 万博推進局の担当者は「万博協会の認識は確認できていない」。朝日新聞が万博協会に認識について取材したところ、万博協会は「今後のよりよい対応のために指導した」と答えた。

 爆発は3月28日午前10時55分ごろ、万博会場西側のグリーンワールド工区のトイレ棟で発生。溶接作業で出た火花が、配管を通すための床下の空間にたまったメタンガスに引火したとみられる。万博協会は当初、爆発でコンクリート製の床と床点検口の計約100平方メートルが壊れたと発表していた。

 万博協会は今月22日になって、屋根材の10カ所のへこみなどの被害を新たに公表した。爆発と被害の最初の公表は発生翌日の3月29日で、それから2カ月近くたった後の別の被害の公表について、万博協会は「施工業者から報告されていなかった」と説明している。

 また、万博協会の担当者は、爆発から約1時間後には現場に駆けつけていたという。だが、「足元の被害が大きかったため、屋根材などの損傷には注意を払えていなかった」としている。(箱谷真司)

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