消費者庁の検討会 法的に義務づけるべき項目を提言
23日開かれた6回目の検討会では、これまでの議論をもとに報告書案が取りまとめられました。
この中で、すべての機能性表示食品を対象に、▽医師の診察を受けるなどして健康被害の疑いが否定できない情報が医療従事者や消費者から寄せられた時は、事業者は症状の重さにかかわらず国に報告すること、また、▽サプリメント形状の機能性表示食品について、適正な製造工程管理の規範=GMPに基づいた安全管理を行うことを、それぞれ法的に義務づけるべきだと提言されています。
GMPに関連して、サプリメントの製造工場で受け入れた原材料は成分が同質なものであることを確認すべきとし、事業者が自己点検できるよう消費者庁がチェックポイントの整備を行うべきだとしています。
ほかにも、消費者にわかりやすいパッケージ表示や情報伝達のあり方を検討することなどが盛り込まれました。
消費者庁では、検討会の報告書を受けた制度の見直し案を今月中に政府に報告することにしています。
一方、検討会では、届け出のある6800のすべての機能性表示食品について、医療従事者から事業者に寄せられた健康被害に関する情報を消費者庁が詳しく分析した結果、製品の摂取と健康被害の因果関係が否定できなかったものが、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」以外に21件あったことも報告されました。
GMP=適正な製造工程管理の規範 2つの団体が審査と認証
GMPは、製造工程で安全で質の高い製品を作るための「適正製造規範」のことで、日本では日本健康・栄養食品協会と日本健康食品規格協会の2つの団体が、工場ごとに審査して認証しています。
具体的には、▽正しい原材料が使われ含まれている量が正確か、▽均質で設計どおりに製造されているか、また、▽規格外の製品が出荷されないようチェックする体制ができているかなど、必要な品質管理のあり方を定めています。
GMPの取得は、医薬品に関しては義務化されていて、機能性表示食品でも、ガイドラインでは、サプリメントについては「GMPに基づく製造工程管理を強く推奨する」とされていますが、小林製薬の紅麹コレステヘルプの紅麹原料を製造している大阪市の工場では取得していませんでした。
2つの認証団体によりますと、GMPは、これまで合わせておよそ230の工場が認証を取得し、錠剤やカプセルを製造する工場の取得は進んでいるものの、原材料の工場はおよそ60か所にとどまっています。
食品業界のイベント 食品の安全性に関心高まる
機能性表示食品の市場が広がる中、22日から東京で開かれている食品業界の関係者が集まるイベントでは、食品メーカーの担当者などが次々に食品の安全や品質管理のブースを訪れる姿が見られ、食品の安全性についての関心の高まりがうかがえました。
今回のイベントでは、ここ数年、市場が拡大し、関心が高まっている機能性表示食品を製造・販売するメーカーや関連の団体などが集まるエリアが初めて設けられました。
このうち適正な製造規範=GMPにのっとって生産している工場かどうかを認証する2つの団体のブースには、消費者庁の検討会でGMP遵守の義務づけが検討されていることを受けて、どのような対応が必要かなどを尋ねる人たちが次々に訪れていました。
機能性表示食品の開発やコンサルティングなどを行っている会社の女性は「紅麹問題では品質管理の問題が特に議題に上がっていたので、正確な情報を収集したいと思ってきました」と話していました。
また、サプリメントを製造・販売している食品メーカーの担当者は「以前から安全性の確保に取り組んでいるつもりだが、今まで以上に周りから見られているという気がするので、しっかり取り組んでいきたい」と話していました。
認証団体の担当者「GMPへの注目度は上がっている」
GMPの認証を行っている日本健康・栄養食品協会の増山明弘健康食品部長は「GMPへの注目度は上がっていて、健康食品業界に参入したいという事業者から今回の件を受けて認証を取ることを検討したいという声も少しずつ出始めている。もともと業界ではサプリメントのGMP遵守に取り組んできたので要件化するからといって大きく変わるものではないと思うが、引き続きレベルを上げてしっかり品質管理できるように情報発信していきたい」と話していました。
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