大阪湾の淀川河口近くで昨年1月に見つかり、その後死んだクジラの処理費が大阪市の試算の倍以上になった問題で、市民団体が23日、契約に携わった市職員と委託業者に8019万円を賠償させるよう横山英幸市長に求め、大阪地裁に提訴した。
「淀ちゃん」の愛称で呼ばれたマッコウクジラの死体は紀伊水道沖に沈められた。市大阪湾港局が市内の海運業者に処理を頼んだところ、業者は費用として8625万円を提示した。市が試算した3774万円と大きな差があり、価格交渉の末、8019万円で随意契約した。
市民の住民監査請求を受け、監査委員は4月、「金額ありきで委託業者との価格交渉が進められたと強く疑念を抱かざるを得ない」として、横山市長に詳細を調べるよう勧告。横山市長は外部の調査チームを設置する方針を示していた。
訴訟では、同局の局長や契約交渉にあたった経営改革課長らを賠償の請求対象とした。原告の市民団体「見張り番」は訴状で、課長が局長らに積算額の引き上げをメールで求め、「積算根拠は後から検討する方法」を進言したと指摘。「根拠なく総額を合意し、後からこれを糊塗(こと)するために根拠を探したもの」で、契約は無効としている。
提訴後に会見を開いた原告の一柿(いちがき)喜美(きみ)さん(76)は「市民に開かれていない大阪市の体質は続いている。また同じことを起こさないためにも、悪いところは悪いと裁判で認めて、市民に返金してほしい」と訴えた。(大滝哲彰)
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