岩手県大船渡市内の化石産地で、日本最古とみられる約4・1億年~3・9億年前(前期デボン紀)の植物化石が見つかったと、静岡大などの研究グループが発表した。日本古生物学会が発行する国際誌電子版で、3月に掲載された。研究グループの資料は6月9日まで、大船渡市立博物館で展示されている。

 同大のジュリアン・ルグラン助教によると、見つけたのは胞子の化石。約4・1億年~3・9億年前に、海で堆積(たいせき)したとされる大船渡市内の中里層の岩石をすりつぶして抽出し、15種類ほどの胞子を見つけたという。胞子は草本性で、木になる植物ではなく、現在のシダ類や種子植物の祖先とされるトリメロフィトン類などが含まれていたとしている。

 ルグラン助教は「胞子の化石はこれまでも海岸近くの地層から見つかっており、中里層の近くにも陸地があり、『草原』が広がっていたと考えられる」と話した。

 これまでの最古の植物化石は、岩手県釜石市や福島県、岐阜県などで発見された後期デボン紀(約3・8億年~3・6億年前)のリンボク類が最古とみられていた。

 大船渡市立博物館では、中里層の岩石からの抽出方法などがパネルで展示されている。古沢明輝・主任学芸員は「化石に絡む技術の進歩なども知ってもらいたい」と話す。(長谷文)

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