■『ベルばら』初演 フェルゼン役で活躍
光原エミカ容疑者(本名:小倉輝美)のホームページには、宝塚音楽学校を首席で卒業したとあり、月組男役のトップスターでした。今から50年前、1974年に宝塚で初めて『ベルサイユのばら』が舞台化された時、マリー・アントワネットの愛人役、フェルゼンを演じたのが光原容疑者になります。当時の芸名は『大滝子』。往年のファンに聞いてみると…。
宝塚ファン歴50年
「(Q.月組でトップスターってかなり大きい)もちろん組のトップになるのは1人しかいないわけですから。その頃は4組ですから、要は4人しかトップはいない」
宝塚ファン歴60年
「(Q.どんな印象)ちょっとクセのあるトップさんだった。フェルゼン(役)をやったんですよね。でもインパクト的にはあんまりなかった。知っているっていうだけで。好きな人は好きだと思いますけど。(Q.実はきょう逮捕されまして)えっ本人が!?びっくりですよそんなねえ。何をやってらしたかもしらないから。動向も全然聞いてないし。何かやっていると教えているとかね。そういう話も全然聞いてないから」
宝塚退団後は字を『大多貴子』に変え、大河ドラマに出るなど女優として活躍しました。リサイタルも開催していました。元タカラジェンヌのトップスターという経歴を生かした活動をする一方で、宝塚のOG界隈ではこのような評判でした。
宝塚OG
「退団したOGたちで行うイベントや講演で交流がなかった。元トップは必ず来るのに。今回の詐欺も違和感はない。詳しくは言えないけど」
■宝塚OG「努力の人…信じられない」
ただ、5期下のOG、沢かをりさんは当時の印象をこのように話しました。
宝塚歌劇団54期生 沢かをりさん
「大滝愛子先生が自分の名前の『大滝』をつけたくらい、かわいがっていらした。(Q.まわりからは)ただひたすら努力の人じゃないですか。努力であそこまで行かれた方だと思います。(Q.詐欺については)それ本当なんですか?ちょっと信じられないですけどね。あの立派な先輩が…」
退団後、ディナーショーを中心に活動をしていたことについては、一般論としてこう話しました。
宝塚歌劇団54期生 沢かをりさん
「(Q.ディナーショーはどれくらいお金かかる)それは場所にもよりますね。私今度、帝国ホテルでやるんですけど、やっぱり2000万円くらいかかります。(収支を)なるべくトントンでいけれるようにもっていきますね。ただ、だんだんお客さんが入らなくなれば、それはしんどいかもしれません」
■過去に“現金”めぐり裁判沙汰も
豪華なショーを続けていることなどで、その資金源が噂になることもあったといいます。かつてはワイドショーを騒がせたこともありました。
1992年のインタビュー
「今までの制作費がかさんでしまって、1億3000万円くらいかさんで、どうしようもならないんですが、チケットと交換に助けていただける方法があるんでしょうかと言うと『大丈夫だよ』と『チケットを買ってあげるから』って」
元佐川急便の社主を頼って提供された1億3000万円が、贈与なのか貸し付けかなのかで裁判沙汰になっていました。
1992年のインタビュー
「現金2つ袋に入られていた。『これを持っていきなさい』と。その時は確認だけで、社員の方が車で私の車に運んで、そのまま送られました。やはり正しく生きたかったから、そういうことです」
裁判所が下した判断は「返還を命ずる」でした。その後、芸名を『光原エミカ』に変えますが、ディナーショーは毎年行っていきます。当初は1万円のチケットでしたが、年々その額は倍増していき…2年前のディナーショーは1人8万円だったといいます。
■「海外で映画作りたい」嘘か
逮捕容疑となった詐欺とは、このようなものです。あるパーティーで光原容疑者と被害者の女性(当時60代)は知り合います。その後、被害者女性は光原容疑者と友人関係になり、ボランティアのような形でイベントを手伝うようになっていきました。そんな時に光原容疑者が言ったのが…。
光原容疑者
「海外で映画を作りたいのでお金を貸してほしい。田園調布の土地を売って返す」
ただ、この土地はすでに光原容疑者が手放していたものでした。手にした1000万円は映画製作に使われた形跡はなく、生活費やディナーショーなどの経費に使われたとされています。光原容疑者は取り調べに対し「お金は返すつもりだった」と話しています。
被害者はこの1000万円以外にも、数十万円や数百万円単位の金を光原容疑者に貸していて、その合計は2000万円以上になるとみられています。
■複数人から口座に入金…余罪は
事件を取材している社会部警視庁担当の石出大地記者に聞きます。
(Q.警視庁が逮捕に踏み切った理由は何ですか)
石出大地記者
「光原容疑者は、被害女性に金の使い道として映画製作の話をしていましたが、警視庁は、そうした実態が本当にあったのか慎重に捜査を進めてきました。逮捕前には、容疑者から複数回にわたって任意で聴取を重ねてきましたが、その際、光原容疑者は『自ら企画した自分の宝塚時代の映画をハリウッドで作りたい』などと説明していたということです。しかし、これまで映画製作に向けた具体的な動きは確認されておらず、女性に架空の話を持ち掛けた疑いが強まっていました。さらに、入金された1000万円の一部は、映画製作の話とは裏腹に、容疑者の自宅の光熱費などに充てられていたことも新たに分かりました。警視庁は、光原容疑者が女性の信用を巧みに利用し、現金をだまし取った可能性が高いと判断しました」
(Q.ファンの気持ちにつけこんだとすると、他にも被害者がいる可能性はありますか)
石出大地記者
「今回の事件の1つのポイントは、被害女性がファンであり、ショーを手伝うなど容疑者と非常に近い関係性だったことです。光原容疑者は取り調べに対し『返すつもりだった』と容疑を否認していますが、その後の取材で『スポンサーみたいなものだから、お金を出すのは当たり前だ』などと供述していることも分かりました。警視庁は、容疑者の口座に、他にも複数の人物から数百万円単位で現金が振り込まれていたことを把握していますが、なかには返済されない前提で金を振り込んだとする人もいたということです。ある捜査関係者は『だまされたかどうかの線引きは、1人1人の受け止め方の問題でもあり、他のケースを今回のように詐欺事件として立件するのは必ずしも簡単ではない』と指摘していました」
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