◆親から154万円借りてモニターに
歯列矯正の治療が中断され、8本の歯が抜かれたままの状況が続く女性
女性は4年前、グランシールドの事業であるマウスピースを使った歯科矯正モニターへの応募を、知人から誘われた。「最初にまとめて契約料を払えば、毎月モニターとして報酬が支払われ、医院で受ける歯列矯正治療が実質無料になる」とのうたい文句だった。 歯並びを気にしていた女性は、契約料154万円を親に借りて同社と一括契約。同社運営の歯科医院に通い、2年間の計画で矯正治療を始めた。報酬は約40回の分割払いで、毎月4万円ずつ戻るはずだった。◆治療は目視だけ…「おかしい」
ところが2022年3月、20回目の報酬から支払いが止まった。同社からは「ウクライナ情勢が悪化し、海外の預金が引き出せない」との釈明のメールが来た。治療は毎回、医師ではなく歯科衛生士が目視するだけ。歯並びは改善しておらず「何かおかしい」と感じたが、その後、治療も中断した。女性がザ・グランシールドと交わした契約書(左)と、報酬の支払いについて記された文書。「154万円」と記載がある
原告の弁護団などによると、同社は同様の手口で、全国1700人から27億円を集めたとみられる。警視庁に被害の相談も寄せられており、同庁は今後、運営実態を調べる方針。 女性は借りた金をようやく親に返済できたが、治療に充てる資金はもうない。矯正のために歯を8本抜いたままだ。「治療前より悪い状態になって恥ずかしく、つらい。お金も返ってこず、心が折れそうです」 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。