厚生労働省の研究班が発表した将来推計によると、65歳以上の高齢者人口がピークに近づく2040年、認知症の高齢者数は584万2000人となる。22年から141万人増え、高齢者のおよそ7人に1人が認知症になる計算だ。認知症の前段階の状態とされる軽度認知障害(MCI)は40年に612万8000人と推計され、認知症とMCIとを合わせると、およそ3人に1人が認知機能低下の症状を生じることになる。

研究班は22~23年度に、石川県中島町、島根県海士町、愛媛県中山町、福岡県久山町の4地域で、65歳以上の住民を対象にした専門医による診断調査などを実施。得られたデータを基に全国的な認知症、MCIの割合(有病率)を推計した。MCIの将来推計は初めて。

年齢層が上がるにしたがって認知症の有病率は高くなり、将来的には有病率の高い世代が増える。50年には認知症高齢者が586万6000人(有病率15.1%)、MCI高齢者が631万2000人(同16.2%)となり、60年には認知症645万1000人(同17.7%)、MCI632万2000人(17.4%)になると推計された。

別の研究班が公表した12年時点の認知症の有病率は15%だったが、今回の調査では22年時点の有病率は12.3%と低くなった。今回の調査を担った九州大学の二宮利治教授は、喫煙率の低下、高血圧や糖尿病などの生活習慣病管理の改善、健康意識の変化といった要因を挙げ、認知機能低下の進行が抑制された可能性があるとみている。

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