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警察庁は、今年の1月〜3月に自宅で亡くなった一人暮らしの高齢者が、約1万7000人で、年間では6万8000人となる推計を明らかにしました。

■深刻化 65歳以上 “孤独死” 年間6万8000人に

 一人暮らしの高齢者に話を聞きました。 独身の69歳女性
「家族がいないので、いつ病気になるか、いつ事故に遭うか、漠然とした不安がある。いとこはいるが音信不通であてにならない。病気をしないように、病院にかからないようにと思っている」 妻と死別した76歳男性
「趣味といえるほどの趣味はなく、友だちも施設か病院か、あの世にしかいない。独居老人にとって、テレビは恋人。ふと気づくとテレビに話しかけている自分がいて、悲しくなって笑ってしまう」 独身の60代女性
「ペットが亡くなり、寂しさが増した。趣味の音楽や読書も疲れてしまうのでやめた。自分の骨を誰が拾うのかと考えたとき、一番孤独を感じる」  一人暮らしの高齢者の数は、2020年は672万人でしたが、2050年には1084万人に。全世帯の5分の1が、一人暮らしの高齢世帯になるという推計です。  さらに「孤独死」です。

 これまで、孤独死の定義が行政や自治体でバラバラだったため、政府は孤独死の定義を『誰にも看取られることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様』として実態把握を進める方針です。

 警察庁によると、今年1月〜3月に、自宅で亡くなった一人暮らしの人で、いわゆる“孤独死”は2万1716人。このうち、65歳以上の高齢者が1万7034人で約8割を占めました。

 高齢者の“孤独死”の年間の推計は、2011年は2万6821人でしたが、2024年は6万8000人になる推計です。  高齢者の孤独の実態です。

 妻と死別した60歳の男性です。退職後に妻を亡くし、引きこもりがちになりました。 家事や近所付き合いを妻に任せっきりだったため、ゴミ出しの日がわからず、ゴミ屋敷状態になったということです。

 独身の80代の女性です。歳を重ねるにつれ、認知症を発症しました。ただ、若い頃は仕事一筋だったこともあり、プライドが高く周囲の助けを拒否していたということで、栄養不足で緊急入院しました。 次のページは ■社会問題 死亡リスク高 なぜ「孤独・孤立」状態に?

■社会問題 死亡リスク高 なぜ「孤独・孤立」状態に?

 孤独・孤立によって発生する問題です。主に『孤独死』『ゴミ屋敷』『悪徳商法の被害』『自殺者の増加』『犯罪、薬物依存』などです。

 さらに海外の研究では、脳卒中の発症リスクが32%増え、認知症の発症確率は64%増えるという結果も出ています。

 死亡リスクです。孤独や孤立は、『1日15本の喫煙』『過度の飲酒』『肥満』よりも死亡リスクが高いというアメリカの研究報告もあります。 孤独や孤立状態になる要因です。
●単身世帯の増加
●家族のかたちの変化
●つながっている居場所の数が少ない 次のページは ■高齢者以外にも…実録 若者・中年世代の孤独

■高齢者以外にも…実録 若者・中年世代の孤独

 孤独は高齢者だけの問題ではありません。

 孤独感がありますかという調査では、「しばしば・常にある」「時々ある」「たまにある」と合わせると、約4割が「孤独感がある」と答えています。

 年代別に見ると、男性は30代が9.0%、40代が8.2%。女性は20代が8.7%。

 男性は30代及び40代、女性は20代で高くなっています。全体では、20代〜50代で高くなっていて、現役世代の孤独も浮き彫りになっています。

 孤独や孤立の問題に詳しい早稲田大学の石田教授によると、「特に30代〜40代男性の孤独・孤立のリスクは非常に深刻。働き手となる世代なので、自分から助けを求めづらく、高齢者や若者と比べ、ケアの体制も少ない」といいます。 30代の未婚男性 Aさん
「毎日、会社と家の往復の日々で、職場でのつながりしかない。 満員電車の中でどうしようもなく孤独を感じることがある。結婚したいが、給料も安く希望がない。 同級生からの結婚や子どもが産まれた報告が精神的にキツい」 40代の既婚男性 Bさん
「家族はいるが、仕事が忙しく、妻や中学生の息子と家庭内での会話がほとんどない。 遅くに帰宅し、食事をしている時、隣の居間から妻と息子の楽しげな会話が聞こえると孤独を感じる。定年したらどうなるのか」 20代の未婚女性 Cさん
「会社の配属で、去年、岩手から上京。常に家族と共に過ごす実家暮らしから、一人だけの生活に。 同僚との会話で、自分1人だけ違う意見の時など、みんなでいる場面の方が、孤独を感じてしまう」  日本は、孤独を感じている人が多い国です。

 OECDの調査では、友人などとの時間をほとんど持たない人の割合は、日本は15.3%でトップです。同居の家族以外に頼れる友人や近所の人は、日本は、アメリカやドイツと比べると圧倒的に少なく、一方で「頼れる人はいない」という割合は多くなっています。

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■ハーバード大が研究…人生幸福のカギ

 どうすれば孤独を感じない人生を送れるのでしょうか?

 ハーバード大学の研究です。1938年から約2600人を追跡調査して、生活状況や健康データを継続的に集め、幸福度などをヒアリングしました。 結果、慢性的な孤独感は1年あたりの死亡率を26%高めるという結果が出ました。

 ハーバード大学が出した結論です。幸福の二大予測因子は、他者との交流の『時間』と『質』。長い人生での幸福は、収入の有無や成功と関係なく、人間関係によって育まれるということです。 早稲田大学 石田教授
「私たちの社会は、便利な物やサービスにより、人とつながらなくてもいい状況をどんどん生み出している。人生の幸福度を高めるには、かなり前向きな意識で、人と付き合うということが求められてくるのではないか」 (「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年5月16日放送分より) この記事の写真を見る(22枚)
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