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 今月、東京・江東区にある図書館がオープンした。一般の人がおすすめの本、“推し本”を貸し出す一風変わった取り組みが、全国に広がっているという。なぜなのか取材した。

■オーナーと利用者の交流も

 今月1日、東京・江東区にオープンした「エンミチ文庫」。ちょっと変わった制度の私設図書館だという。 エンミチ文庫 押切道子館長
「みなさんが、この棚を1つずつオーナーになって、お借りいただいて。自分の好きな本とか、“推し本”を並べてもらって」  ひと月1500円〜2000円でオーナーになれる「一箱本棚オーナー制度」。本棚を借りたオーナーが、自分の好きな本、“推し本”を置くことができる。  本棚のオーナーになっている人は、次のように話す。 本棚のオーナー(設計関係・30代)
「(Q.あなたの“推し本”は?)“推し本”これ『超日常観察記』という本。私、こういう人の生活とか観察しながら設計に落とし込むのが、すごく好きで。学生時代に読んで、衝撃を受けたような感じがする“推し本”です」

 現在、42人のオーナーがいて、本棚一つひとつが、違ったジャンルの“推し本”であふれている。江戸の歴史を推す棚や、理科や科学の本を集めた棚。こちらは飛行機関連となっているなど、ひと目でオーナーの好みが分かる。

 だが、なぜお金を払ってまで、自分の“推し本”を貸し出すのか?

 実は、受け付けをオーナーなども担当していて、まさに、利用者が自分の“推し本”を手にとる瞬間に立ち会える。

本棚のオーナー(設計関係・30代)
「(利用者と)会話がうまれたりとか。『あれよかったよね』みたいなところが、いくつかのコミュニケーションをスキップして、仲良くなれることもあると思うので、そういうところに魅力を感じます」  また別のオーナーは、次のように話す。 本棚のオーナー(派遣社員・50代)
「オーナーのみなさんで集まる会なんかも開くんです。(オーナーになるための)2000円でいろんな人と話ができて、こういう本の興味の共有もできたり、とてもいい機会を得ていると思います」

 一方利用者は、最初に登録料500円を払えば、以降は無料で1冊ずつ借りることができる。

利用者(50代)
「本屋さんで、ポップとかにいろいろ書いてありますよね。ああいう感じで、それがいくつもあるような」 利用者(40代)
「カテゴリーが分かれていてなおかつ、それぞれの専門分野になっているので、このブース面白そうだなと思って手に取りやすいと思います」  本棚のオーナー、そして利用者もうれしい、この私設図書館。実は、運営側にもこの場所に図書館を設置した「あるメリット」があった。 押切館長
「みんなで、いろいろな多世代の人と、地域の人が関わるというのをコンセプトに、この建物をつくりました」

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■複合福祉施設に…私設図書館を開設した理由

■複合福祉施設に…私設図書館を開設した理由

押切館長
「(Q.そもそもなんですが、こちら、どういった場所なんですか?)こちらは『深川エンミチ』と申しまして、1階は高齢者デイサービス。2階は学童保育クラブ、135人の子どもたちと、みんなで生活する場で、福祉施設になります」

 この複合福祉施設に私設図書館を開設した理由、それは…。

押切館長
「この本を通じて、こちらに来ることで、おじいちゃま、おばあちゃまはこうして過ごしているんだなとか。子どもたちは、こうやって帰ってくるんだなとか。そういったことをみなさん、思いをはせていただきたいと思っています」  閉鎖的になりがちな福祉施設に私設図書館を設けることで、人と人との“縁(エン)”を本棚の前の廊下、“道(ミチ)”を通じてつくり出そうと「エンミチ文庫」と名づけられたという。

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■先駆者の図書館館長の思い

■先駆者の図書館館長の思い

 こうしたオーナー制度を取り入れた私設図書館が今、全国に広がりを見せている。

 その先駆けとなったのが、2020年3月にオープンした静岡県焼津市の「みんなの図書館さんかく」だ。館長の土肥潤也さんに話を聞いた。

みんなの図書館さんかく 土肥潤也館長
「ドイツを訪問したことが、きっかけになっていて、市民の人たちが日常的に公共に参加する姿をみて、日本でもこういう場を実現したいと思って、民営で図書館をつくろうと考えたのがスタートになります」  「一箱本棚オーナー制度」の私設図書館の誕生から、およそ4年。いまでは30都府県に78カ所ある。 土肥館長
「僕も、こんなに増えると思っていなかったというのが本音。ただ、それだけ時代が求めているものなんだと思って。手触りのある交流だったり、人と無目的につながれる場所だったり、そういう価値観が共感をうんで、現在につながっているんだなと思います」

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年5月17日放送分より)

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