新潟県新発田市で2014年に女性(当時20)にわいせつ行為をして殺害したとして、殺人や強制わいせつ致傷などの罪に問われた喜納(きな)尚吾被告(41)の控訴審判決が17日、東京高裁(斉藤啓昭裁判長)であった。判決は、被告を無期懲役とした一審・新潟地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却した。
被告は13年8~12月に別の女性4人を襲い、うち1人を死なせた強姦(ごうかん)致死罪などで逮捕・起訴され、18年に無期懲役が確定した。その後、今回の殺人事件で新たに逮捕・起訴された。
高裁判決などによると、被告は14年1月に新発田市で女性を車ごと連れ去り、わいせつ行為をして負傷させた上で殺害した。
刑事訴訟法には一度判決が確定した事件については再び罪に問えない「一事不再理」の規定があり、憲法も二重処罰を禁止している。このため裁判では、先に確定した罪を、今回の事件の量刑で考慮できるかが焦点の一つとなった。
検察側は一事不再理の原則も踏まえつつ、被告が無期懲役が確定した事件から間もない時期に今回の事件を起こした点を強調。今回の事件の被害者は1人だが、一連の経緯を「特に重視すべき事情だ」と主張し、死刑を求刑した。
これに対し、22年11月の地裁判決は、同時期に性犯罪を起こしており「常習性が高い」と指摘したが、被害者が1人だったわいせつ目的殺人の過去の量刑はほとんどが無期懲役であることなどから、無期懲役を言い渡した。
裁判で被告は「全く身に覚えがない」と無罪を主張していた。(金子和史)
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