◆死亡との直接の因果関係は認めず
判決によると、男性は13年10月、成田空港で入国を拒否され、11月に東日本入管に収容。糖尿病などをわずらい、14年3月に監視カメラのある部屋に移された。男性は、同月29日午後7時ごろから「アイムダイイング(私は死んでしまう)」などと苦しさを訴え、ベッドから落ちるなどしたが、見回りにきた職員はベッドに引き上げただけで、医者を呼ぶなどの措置を取らなかった。男性は翌朝、心肺停止状態で発見された。控訴審判決後、監視カメラの映像を示し記者会見をする児玉晃一弁護士(左)ら=東京・霞が関の司法記者クラブで
判決は「入管職員には遅くとも午後7時35分ごろの時点で救急搬送する義務があった」とした。ただ、その時点で救急搬送していれば高い確率で命が助かったかは不明として、入管の過失と死亡との直接の因果関係は認めなかった。◆モニタールームの音声が切られていた
原告の代理人の児玉晃一弁護士は「別室のモニタールームで音声が切られているなど、入管の体制不備が大きかった。死亡に対する入管の責任が認められなかったのは残念」と述べた。最高裁に上告するかは遺族と相談し決めるという。 出入国在留管理庁(入管庁)は「判決を精査して対応する」としている。(池尾伸一) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。