JR東海の東海道新幹線の車掌だった男性(69)=大阪府=が「年次有給休暇を希望通り取れなかった」として、同社に40万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(黒野功久裁判長)は16日、請求を退けた一審・大阪地裁判決を支持し、男性の控訴を棄却した。

 労働基準法は「労働者の希望する日に年休を与えなければならない」と定める一方、「事業の正常な運営を妨げる場合」は会社が取得日を変更できるとしている。男性は2015~16年度に計128日、日付を指定して年休を希望したが、95日は変更となり、7日分は消化できず、精神的苦痛を受けたと訴えている。

 地裁判決は、同社は新幹線の需要に応じて臨時列車を設定し、乗務員を手配していると指摘。代わりを見つける難しさや乗務員の体調不良に備える必要性などから同社の対応は適法とし、「勤務5日前まで年休が確定しないのは不合理」との男性の主張を退けた。

 同社を巡っては、新幹線運転士ら6人が東京でも同様の訴訟を起こし、一審・東京地裁は「労働契約上の義務を怠った」と認めて賠償を命じた。東京高裁は今年2月にこれを取り消し、原告の請求を棄却している。(山本逸生)

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