4月にあった衆院東京15区補選で他陣営の選挙活動を妨害したとして、政治団体「つばさの党」の事務所(東京都千代田区)などが家宅捜索を受けた事件で、団体代表ら3人が選挙カーを追いかけた行為について、警視庁が公職選挙法違反(選挙の自由妨害)にあたるとみて立件を検討していることが捜査関係者への取材でわかった。
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公選法は、「交通の便の妨げ」について選挙妨害にあたると定める。この項目の適用は極めて異例という。
捜査関係者によると、同法違反の疑いがあるのはつばさの党の黒川敦彦代表(45)=埼玉県朝霞市=と、補選に立候補し、落選した根本良輔幹事長(29)=東京都練馬区=、男性運動員の3人。警視庁は13日、事務所のほか、黒川、根本両氏の自宅も家宅捜索した。
捜索の容疑は、選挙期間中、3人が他候補者の街頭演説中に拡声器を使ったり車のクラクションを鳴らしたりしたほか、走行中の他候補者の選挙カーを追いかけ、選挙の自由を妨げたというもの。このうち追いかけ行為では、他陣営の選挙カーが警察署への避難を余儀なくされたケースが複数確認されているという。
警察幹部「選挙活動の一線を越えた」
交通妨害について公選法違反に問うのは、確認できる範囲で警視庁では今回が初めてという。警察幹部は「数十分間、数キロにわたって他の陣営を追いかけた。追いかけられた陣営は警察署に逃げ込み、演説を中断するといった実害が生じた」と指摘。各陣営の選挙カーのドライブレコーダーなど、客観的証拠を確認した上で、「選挙活動の一線を越え、有権者が候補者の主張を聞く機会を妨げた」と判断しているという。
警視庁は家宅捜索で選挙カーやパソコンなど数十点を押収。これらの解析を進め、3人から事情を聴くなどし、立件に向け捜査を進める方針。
黒川氏は4月8日、根本氏は同25日に都知事選に立候補する意向を表明した。都知事選は6月20日に告示される。(福冨旅史、三井新、板倉大地)
つばさの党をめぐる事件の経緯
4月16日 衆院東京15区補選が告示
乙武氏陣営の演説中、大声を出す
17日 立憲民主党の選挙カーを追跡
18日 警視庁が公選法違反容疑で警告
19日 立憲と参政党の選挙カーを追跡
23日 立憲と乙武氏陣営の選挙カーを追跡
28日 補選の投開票日
根本氏が最下位の約1100票で落選
5月13日 警視庁が家宅捜索
6月20日 東京都知事選告示
(つばさの党の動画や陣営への取材などから)
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