SNS上で有名人などの名前や画像を無断で使用して本人になりすまし投資などを呼びかける偽の広告をめぐっては、現金をだまし取られるなどの被害が全国で相次いでいて、消費者庁は関係省庁と連携して被害の未然防止に向けた注意喚起を行っていく方針を示しています。

警視庁のまとめによりますと、都内での被害は去年1年間で少なくとも210件、およそ38億円に上るということです。

中には、70代の男性がおよそ1億4000万円をだまし取られたケースもあります。

この男性は去年10月ごろ、インターネットである有名人に関するニュースを調べていたところ、LINEで「友だち登録」できるという広告を見つけました。

その広告を信じてLINEに登録をすると、「投資のテクニックを教える」などと説明され、さらに、その有名人のアシスタントを名乗る人物から投資用の偽のアプリをインストールするよう求められたということです。

そして、インターネットバンキングを通じて十数回にわたって現金を振り込んでしまったということです。

偽のアプリには、振り込んだ額に利益分が上乗せされた金額が表示されていましたが、実際には運用などは行われておらず、だまし取られたとみられています。

警視庁は「LINEなどで事前にやりとりを重ねることで、有名人や投資会社の社員などになりすました人物を信頼してしまう。結果として長期間だまされて被害が高額になるケースが多いため、注意してほしい」としています。

不審に思い警察に相談 容疑者を検挙

有名人などになりすまして投資を呼びかける偽の広告がSNS上に広がっている問題をめぐっては、容疑者が検挙されたケースもあります。

被害に遭ったのは、徳島市内に住む60代の男性です。

捜査関係者によりますと、男性がフェイスブックに表示された有名投資家の画像を使った広告をクリックしたところ、「投資の指南書を無料で渡します」などと持ちかけられ、LINEでのやりとりが始まります。

その後、投資会社の社員になりすました人物から投資用の偽のアプリをインストールするよう求められ、投資のために現金を振り込みました。

このアプリは、投資した金が増えているように見える仕組みになっていたということです。

その後、「元金や投資で得た利益を出金するためには手数料が必要だ」などと言われます。

男性は不審に思って、事前に警察に相談し、自宅まで現金およそ2200万円を受け取りに来たマレーシア国籍の43歳の容疑者が詐欺未遂の疑いで逮捕されました。

男性が使っていた投資用アプリを運営しているという札幌市の投資会社を警察が調べたところ、会社に実態はなかったということです。

逮捕された容疑者は現金の受け取り役とみられ、警察は、偽の広告を出した人物やLINEでやりとりをした人物など、複数の人物が関わっているとみて、実態の解明を進めています。

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