大阪地検特捜部が捜査した学校法人を巡る業務上横領事件で、無罪が確定した不動産会社の元社長が7億7千万円の国家賠償を求めた訴訟で、担当検事の1人が「逮捕は待った方がいいと主任検事に意見を述べた」と説明していることが14日、分かった。原告側代理人が明らかにした。

説明した検事は、6月の証人尋問に出廷予定の検事4人のうちの1人。尋問前に国側がそれぞれの検事が経緯を説明した陳述書を提出していた。

この検事の陳述書によると、先に逮捕した学校法人の元理事は取り調べで、元社長の事件への関与をほのめかす供述をしていたが、その後になって供述調書の一部を撤回すると申し出たという。

検事は、元社長を逮捕する予定だと事前に説明を受けていたため「元理事が供述の撤回を申し出た以上、その信用性はより慎重に検討すべきだ」と考え、主任検事に「逮捕は待った方がいいと思う」と進言。しかし主任検事の判断で逮捕の方針は変わらなかったという。

原告のプレサンスコーポレーション(大阪市)元社長、山岸忍氏(61)側は2023年10月、違法な取り調べがあったとして、同氏や元部下、取引先の社長を調べた検事ら計4人の証人尋問を請求。国側も24年3月、違法性はなかったと立証するためとして同様に尋問を求め、地裁は4月、6月中旬に尋問を行うと決定した。

訴状によると、特捜部の検事は、山岸氏の元部下=業務上横領罪で有罪確定=らに対する取り調べで「プレサンスの評判をおとしめた大罪人だ」などと威圧。その後、元部下らは同氏の関与を認める供述に転じ、同氏は逮捕、起訴された。逮捕から248日間勾留され、取締役の地位を失い、精神的苦痛や経済的損害を受けたとしている。

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