中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は13日、教員の残業代の代わりに基本給の4%を上乗せする「教職調整額」を10%以上にすることなどを盛り込んだ教員確保に向けた総合的な対策案を了承した。政府は6月にも策定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映したい考えだ。

教員は教材研究や生徒対応など仕事内容が特殊だという理由で、時間外勤務手当(残業代)が支給されず、代わりに教職員給与特別措置法(給特法)が基本給の4%を教職調整額として支給すると定めている。

4%は1971年の給特法制定当時に国が調べた月8時間程度の残業時間から算定された。ただ2022年度の文科省の調査では月平均の残業時間の推計は小学校が約41時間、中学校が約58時間で、実態を反映していないとの声が根強かった。

10%以上とするのは一般公務員と比べた場合の給与面での優遇を約40年前の水準に戻すことも踏まえた。文科省は25年の通常国会で給特法の改正案を提出する方針で、増額されれば約50年ぶりとなる。

対策案では、小学校の5、6年で実施している教科担任制を3、4年にも拡大することや、若手教員へのサポートと学校内外の調整を担う、中堅層向けの新たな職の創設を求めた。業務負担の重い学級担任の手当を加算したり管理職手当を改善したりする必要性も示した。

終業から次の始業まで休息時間を明確にする勤務間インターバルは、生活や睡眠の時間確保に有効だとした上で、11時間を目安として推進すべきだと指摘した。

これらの取り組みを通して、残業時間を「過労死ライン」とされる月80時間超の教員をゼロとすることを最優先とし、将来的に平均月20時間程度を目指すとした。

22年度実施の公立小学校の教員採用試験の競争倍率は2.3倍で4年連続で過去最低だった。深刻な教員不足の打破を狙う。

対策案の実現には財源の壁がある。調整額を10%とした場合の公費負担は約2100億円と試算される。教科担任制の推進などには教員定数の改善が必要で、人件費に充てる費用の確保も課題となる。

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