秋田県五城目町が県外の小中学生を受け入れる「教育留学」が注目されている。数日から2週間程度を自由に選べて、留学中も元の在籍校で出席扱いになるケースが多いことなどが好評の理由だ。学校と地域で交流があり、環境を気に入って移住した家族もいる。(共同通信=山崎祥奈)
制度は2022年度に始まった。町に一つずつある小中学校で受け入れており、昨年度は6月~2月の期間中に20人が利用した。宿泊場所を確保して保護者と一緒に来るか、町内の親戚宅などに泊まるのが条件になる。
沖縄県うるま市の小学4年菊地環菜さん(9)は五城目町に親の実家があり、帰省を兼ねて留学するリピーターだ。昨年度は1月に5日間参加。「体育の雪合戦が楽しかった」と笑った。
小学校の教室は扉がなく開放的で、他クラスの授業に興味をもった児童が「プリントがほしい」と来ることもある。放課後や休日には、町民が講師を務める音楽、運動やeスポーツといった町のプログラムに参加して、年齢に関係なく多くの町民と交流できる。
千葉県船橋市に住んでいた高橋今日子さん(43)は、学校を休みがちだった当時小学生の長男と2022年度に留学したのをきっかけに、町に移住した。留学は数日間だったが、長男が「友達や先生、地域の人がよくしてくれた。移住したい」と話したため決意。高橋さんは「これまで過ごした都市部とは違う社会だ。子どもが自分に合うと感じる場所で成長を見守りたい」と話した。
全国的には山村留学や離島留学といった制度があり、関連団体などによると、利用者は増加傾向にある。ただ期間は1年程度が多く、住民票の異動や転校が必要だ。五城目町の教育留学は住民票は元のままでよく、転校の手続きもほとんどの場合はいらない。
神奈川県逗子市から小学生の息子2人と参加した出村美奈子さん(42)は「子どもはもちろん、親にもいい刺激になる。こうした制度が全国に広がれば面白い」と語った。
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