中国で上海語を使ったドラマの大ヒットなどを機に、上海語への若者の関心が高まっている。上海市では地元の言葉を使うお笑いの公演や語学講座も盛況だ。1992年に標準中国語の普及のため小中学校で上海語の使用が禁止され、話せない若者が増える中、復活への期待が高まっている。(共同通信=柴田智也)
上海語は上海市で話される方言で、アヘン戦争後の1843年に上海港が開港して人口が流入した結果、独自に形成された。「こんにちは」は標準語で「ニーハオ」だが上海語で「ノンホー」と表記も発音も異なり、標準語とでは会話が成立しないほどの違いがある。
昨年末から、1990年代の上海を舞台に主人公が成り上がる様を描いたドラマ「繁花」が大ヒット。独自の表現にあふれた上海語版は地域を越えて注目を集め、上海語ブームが起きた。
ブームに乗り、市内の上海語トークショーの会場は若者ら約200人で埋まった。男性コメディアンが「夫が掃除を自画自賛しても、妻に指摘された途端にこうなる」とマイクスタンドをモップのように激しく動かすと、笑い声と拍手に包まれた。恐妻家で知られる上海人男性の自虐ネタは、自然と笑いが起きる。
家族と訪れた大学院生の男性(25)は「上海語が話せるから面白く見られた。次は友達を誘いたい」と笑顔。会社員の母親(52)は「上海語は親近感が湧くので、話せない親戚の子も学んでほしい」と話す。
2012年の調査によると、上海語で会話できる市内の小中学生は約60%で、現在はさらに少ないとみられる。市内の公立小学校で上海語の授業を導入したり、地域で市外出身の子ども向けに上海語講座を開いたりと取り組みが進む。
上海大の銭乃栄教授はドラマをきっかけとしたブームに「こうした雰囲気は方言の存続に重要な意味がある」と期待を寄せた。
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