今月20日に締め切りを迎える奈良県主催の動画コンテストで、13日時点の応募がわずか1作品にとどまっている。子育てや家族の形を題材にした動画作品を募り、優秀な9作品に各3万円の商品券を贈る想定だったが、思わぬ低調ぶりに担当者は頭を抱えている。
「若者が暮らしやすい奈良の動画グランプリ」は、未婚化や晩婚化が進むなかで、パートナーを得ることや育児についてポジティブなイメージを持ってほしいと、コンテスト形式でPR動画を公募している。県内在住・在勤でなくても応募可能。3分以内の映像で、実写やCG、アニメなど表現の形式は問わない。
国の少子化対策事業の交付金を利用し、予算額は約900万円を計上。予算案の段階では「結婚や子育てに前向きになれるような啓発動画の作成」をうたっていた。
だが、審議会で外部委員から「特定の価値観を押し出すことにならないか」と危ぶむ声も出た。結果、募集サイトには「個人の多様な価値観、考え方が尊重されることを前提として」とのただし書きを加え、性的少数者に配慮して「結婚」という言葉も消した。
県こども・女性課の南則行課長は、若者が動画で情報を得ていることを受け、若者向けの動画を当事者世代につくってほしいとの意図だったと語る。「子どもを持つことがリスクのように感じられる風潮がある。子どもっていいな、家族っていいなとほっこりできる動画が集まればと思った」
しかし、実施まで検討に時間を要したこともあり、募集期間は11月から12月20日までの2カ月足らずに。また、映像の長さを1分以上と規定したことも応募のハードルを上げたとみられる。
県は、関西圏の大学や映像系の専門学校など約100校にコンテストを告知。県内の中学・高校にも案内したが、応募は低調だ。担当者たちは「締め切り直前に駆け込みで応募があるのでは」と期待をつなぐが、応募数が伸びないようなら受付期間を延長することも視野に検討する。
応募作品は映像の専門家らが審査し、2月に表彰式を実施する予定。南課長は「必ずしも1分に達していなくても構わない。気軽に応募してほしい」と呼びかけている。
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