熊本県立大津高校サッカー部の部員が後輩に全裸で土下座を強要したとされる事件で、強要罪に問われている当時の2年生部員2人の初公判が1日、熊本地裁(鈴木和彦裁判官)であった。2人は起訴内容を全面的に否認した。

 起訴状によると、2人は2022年1月、全国大会に出場したレギュラーメンバーの応援で、東京都渋谷区内の施設に宿泊した際、1年生部員を呼びつけ、ほかの氏名不詳者と共謀し、「お前、あだな言っとるやろ」「あだ名言ったんだけん、土下座するのが普通やろ」「全裸なれよ」「土下座せろよ」と要求。応じなければ危害を加えかねない気勢を示して怖がらせ、実際に全裸で土下座をさせたとされる。

 罪状認否で、被告の1人は「発言は一切言っていないし、要求もしていない」、もう1人も「全裸と土下座は強要していない」と発言。2人の弁護人は「共謀した事実も、要求した事実もない」と無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、当時サッカー部には約160人の部員がおり、上級生には下級生に対し、一発芸をさせたり、容姿であだ名を付けたりするなど、理不尽な要求をする風潮があったと指摘。全裸で土下座した場面は2年生が撮影していたが、被害者とは別の1年生の抗議で削除したことも明らかにした。

 この問題では、熊本県教育委員会が、いじめ防止対策推進法に基づき重大事態と認定し、大津高校は調査のための第三者委員会を設置。一方、熊本県警は2人を書類送検し、熊本地検が在宅起訴していた。(森北喜久馬)

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