4月は、学生たちにとって心機一転のシーズンです。新学期が始まり、「ここから頑張ろう!」と考える人が多くなるシーズンだと思います。
中学にしろ、高校にしろ、学生生活は一度しかないものであり、多くの人が「悔いのない学生生活を送りたい!」と思っていることでしょう。
部活を本気で頑張ったり、友達ともいっぱい遊んで、青春を謳歌したい一方で、「しっかり勉強もしなければならない」というのが、学生にとっては大きな悩みだと思います。
学生生活と勉強を両立させる東大生
そんなお子さんたちを見ている親御さんも、そこまでガミガミ「勉強しろ」と言いたくはないけれど、これからの進路で苦労しないくらいには勉強してほしいし、いい大学にも合格してほしい、と考えている人が多いと思います。
一方で、東大合格者たちに話を聞くと、学生生活の中で勉強ばかりをしていたという人は意外と少ないです。部活動や委員会活動に力を入れる一方で、学校の勉強も真面目に取り組んで東大に合格している人が多いのです。
どうすれば彼ら・彼女たちのように、学生生活と勉強を両立できるのでしょうか? 話を聞いてみると、東大生はあるものを重視して勉強していたという人が多いです。
それは「定期テスト」です。定期テストは、多くの学校では年間5回行われます。1学期の中間と期末テスト、2学期の中間と期末テスト、そして3学期の学年末テストです。基本的に、中間テストの科目数は少なめで、期末テストの科目数は多めになっている場合が多いです。
東大に合格している生徒は、この定期テストを重視している場合が多かったです。定期テストをベンチマークにして、しっかりといい点数を取ることを意識しながら勉強していたようです。
普段から本気で部活動を頑張っているけれど、それでも定期テストだけはいい点を取れるようにする、という人が多かったです。
さて、そのうえでみなさんに1つ質問です。同じ授業を受けていて、同じ勉強をしていても、定期テストでいい成績の子と、悪い成績の子で差がついてしまうのはなぜでしょうか。
僕も仕事柄多くの生徒たちに話を聞くのですが、「隣の席の子は毎回、同じように授業を聞いて、部活もやっていて、勉強時間は自分より少ないはずだ。それなのに、いい点数を取っている。一方で、自分はいい点が取れていない……。一体なぜだ!」と悩んでいる生徒たちはとても多いです。
でも、この違いを生んでいるのは、生まれつきの頭の良さの違いではありません。実はちょっとした意識の差です。
テストで出る形式を考えながら、授業を聞く
その差というのは、「定期テスト本番だったら、どうやって問われるか?」ということを意識しながら勉強できているかどうか、だと思います。
頭のいい人は授業中に何を考えているのでしょうか。例えば、授業で先生が英単語を教えたときに、こんなふうに考えます。
「ああ、この単語は定期テストでこんな問題として出題されそうだなぁ」
「ってことは、ここは2つセットで覚えておかなきゃいけないよな」
と。
要するに、テストで出る形式から逆算した勉強を積み重ねているのです。
どう出題されるかがわかっていれば、効率的に勉強できます。例えば「次の定期テストは4択問題の試験だぞ!」と言われたら漢字は覚えなくていいですよね。
記述式の問題ではないので、選択肢の中から正解を選べばいいだけなのですから。逆に「記述式だぞ!」と言われたら、漢字が答えられるかどうかも確認しなければなりません。そうでないと点数につながらなくなってしまいます。
「今の勉強が、どんな問題になるのか?」
これを意識して先生の話を聞いていれば、「あ、今のは、覚えないと」「ここ、試験に出そうだな」とわかるようになります。
「山を張る」という言葉がありますが、それが成立するのはきちんと授業で「どこが出そうか」を意識して聞いている人です。
おすすめの勉強法は「これ、問われそうだな」という単語や事項を、1冊のノートにまとめてメモをする、というやり方です。
そのメモに軽く説明を加えます。説明を読んだら、その単語が答えられるかどうかを、チェックしていくわけです。
そうすると、少なくとも「覚えなければならないこと」で点を落とすことはなくなります。正直、難関の中高でなければ、たいていの科目はこれでクリアできます。
色付きペンを駆使して、復習用ノート作る
覚えるべきことを覚えても点数が取れない試験なんて、そうそうありません。定期テストであれば、これで十分対応可能なのです。
覚えたい箇所は、オレンジのペンやピンクのペンで書いていきましょう。こうすれば、赤いシートで消すことができます。復習するときに、自分で問題を出すことができるようになります。
こんなイメージですね。
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復習用ノート(写真:筆者提供)復習用ノート(写真:筆者提供)ほかの事例も紹介すると、教科書をコピーして、その中で重要そうなポイントを黒で塗りつぶし、「穴埋め問題」を自分で作っていた人もいました。
これならばペンで書かなくても問題が解けて、効率がいいですし、各授業の終わりなどに復習しておけば、テスト勉強はいらないかもしれません。
これ以外にも、教科書で重要そうな一文に線を引き、その部分が答えになる聞き方を考えて、「記述問題」も作っていたそうです。
記述式の問題であっても、この方法ならば対応できます。答えの部分を緑色の蛍光ペンで引くと、赤シートで消すことができます。
このようにして「どう問われるか」を意識して勉強すれば、普段の勉強の質が高くなり、成績が上がるというわけですね。
いかがでしたか? 東大に合格した人の中で、定期テストの対策について、こんなことを言っている人がいました。
「定期テストは、自分と先生の問題の出し合いだ」
自分だったらこういう問題を作ると考えて、逆に先生はどんな問題を作るのかも予想する。それが正解であれば点が取れるし、自分の想定よりも難しい問題だったら点が取れない。そういう意識でテストに臨んでいると、ほかの生徒よりも、点数が取りやすいんですよね。
定期テストでいい点とっても意味がない?
『高校生活の強化書』(東京書籍)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします受験勉強において、定期テストを馬鹿にする人がいます。
「定期テストでいい点を取ったって意味がないじゃないか」と。
しかし、こんなふうに「問題の出し合い」だと考えると、まったく別のものだと捉えられます。
要は、問題の作り合いっ子。問題作成能力を磨き、自分の勉強の質を高める場だと言えるわけです。
そしてそれは、大学受験でも必ず活かすことができるはずです。ぜひみなさんも、定期テストをそういう機会だと思って勉強してみてもらえればと思います。
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